最近ニュースを賑わせている「事業仕分け」
実際はそれなりの有識者が参加してまともな議論も行なわれている、とか財務省主導(=良くも悪くも昔から密室でやっていた話を公開しているだけのようなもの)という話も伝え聞いていて、それらを総合すると実際は良くも悪くもすごいことをしているわけではないというのが結論なのだろうが、テレビを見る限り『ワイドショーの解説者感覚で素人が適当にやっている』感をぬぐえないのがどうも危なっかしい(※1)。「減らす」一辺倒の議論だからマイナスイメージというのも良くない。削った額のいくらかを敗者復活のチャンスを設けて、一部取り戻せるようにするとか、有識者が省庁に増額を要求するチャンスがあったりすると希望が持てるのであるが、政治の「劇場」的性格を強めてしまうので却って良くないのかもしれない(※2)。
その事業仕分けで昨日、バスの補助金が議論されたという話をニュースで知った
同じ国交省所管で地方バス路線の維持を目的とする「バス運行対策費補助(概算要求74億円)」については「見直しが必要」と判定された。
産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091124/plc0911242119020-n1.htm より
ニュースの原題は「地方に配慮、離島航路補助は見直さず」で、離島航路減額はなし(※3)、バス事業については車両購入費を減額という話である。
この話、実は「バス運行対策費補助は、国の地方バスのほんの一部でしかない」という点で興味深い
実は2002年のバス規制緩和を境に、国によるバス路線の補助は大幅に減額されている。一方で、営利ベースでの地方のバス路線は大幅に減少。これに対し、都道府県と市町村が補助を行い、「コミュニティバス・代替バス」が運行されているのであるが、財政に余裕がないのにどうしてそんな事ができるのかといえば「特別交付税措置」というのがとられ、補助額の8割を国が特別交付税の形で支給しているからに他ならない。この規模が500億円規模(※4)。
さすがに別のところに500億円ほどの財源があるから無くせと言うのは乱暴であるが、統合を行なわないでこの補助金を存続させる事の大局的な意味は良く分からない。勿論、これは比較的距離の長いバス路線を対象としていて国あるいはその出先機関である運輸局が関与するのはある程度適切といえるし、以前からの補助金を引き継いだものであるから規制緩和時にいきなり廃止というのも事務手続き的には却って煩雑だった可能性はある。が、補助額の算出式はややこしいし、未来永劫残す必要があるのかといえばちょっと疑問な制度、車両購入費は不要(※5)、というちょっと良く分からない提案よりは、22年度以降の交付税との統合とかを提案すべきだったと思うのであるが・・・。個人的には国の役目として、地方の代替バスの情報把握(※6)やコスト効率化のモデル事業の推進に特化、その事業費に10億円単位の補助金を残すのがいいのでは、と思ったりするのであるが、まあ、これも議論は必要であろう。
ちなみに、この議論の直後には、「バス利用等総合対策事業」の議論が行なわれ、結論は「廃止」。実は日本では都市のバスに対する補助制度が全くなく、ここに含まれる「オムニバスタウン事業」はその意味で重要だったのだが、削られてしまった・・・。なくてもなんとかなるか?と言えばあんまり反論できないのは確かなのであるが。
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