アメリカ旅客鉄道史おまけ(雑談と掲示板) 作者のアメリカ鉄道雑談

® (注)

 コンレール(2002年3月12日)


 コンレール(CONSOLIDATED RAIL CORPORATION:統合鉄道会社)は、1970年代に崩壊の危機に直面したペンセントラル鉄道(黄金期には世界最大規模を誇った東部の二大鉄道会社、ペンシルバニア鉄道とニューヨークセントラル鉄道が合理化のために合併してできた会社)をはじめ、東部の複数の鉄道会社を統合した半官半民の鉄道会社である。徹底的な合理化を進め、また、旅客部門を同時期に設立されたアムトラックに移管したことから再建は順調に進み、1999年に株式は東南部に路線網を持つノーフォークサザン鉄道とCSXに売却された。両者は幹線輸送を従来の自社路線と統合させる一方で、結節点輸送のためにコンレールと言う組織も残した。
 とここまでは、日本の民営化と逆のプロセスを辿って再建されたアメリカの鉄道の普通の話なのだが、この会社のホームページの質問コーナーはなんだか変である。試しに翻訳したのが次である。

F A Q S よくある質問

コンレールで働く(Employment At Conrail)

コンレールで働くにはどうすれば良いですか
A:採用のページに職種と選考書類提出の仕方についての詳しい情報があります。

⇒ここはまともな質問。採用のページと言うのを見てみたが、きらびやかな日本の鉄道会社の新卒採用のページと比べるとそっけない。


鉄道の運行に関して(Railroad Operations)


列車の運行に関する細かい質問にお答え頂けますか

 残念ながら、問い合わせの数が多く、担当者に限りがあるので、運行時刻、路線、機関車、貨車、その他ファン(enthusiast)の方なら関心を持たれそうな特定の運行情報に関しては回答する事ができません。ただ、ファンの方々が関心を持たれそうなサイトへのリンクはありますのででチェックしてください。

コンレールの運行スケジュールを手に入れられますか

 現在、コンレールは時刻表を出版していません.
 ⇒鉄道の運行ってファンだけが関係するの?「貨物を運んで欲しいのだが、○○から△△まで行けるのか」と言うのもこの種の質問の範疇に入るはずだと思うが。
 日本の鉄道よりアメリカの鉄道の方がファンサービスに熱心な印象があるが、他の鉄道ではどうなのだろう。


その他の質問(Other Questions)

家系図(a family genealogy)のために以前鉄道で働いていた親族の情報が必要なんですが、なにか情報はありませんか。.

コンレール、もしくはコンレールの母体となった会社で働いていた家族の情報を見つけるには、シカゴに拠点を置く鉄道退職者協会にコンタクトをとるのが一番良いと思われます。記録を調べる事に関する詳しい情報は、鉄道退職者協会の世代調査ページへ。

 ⇒変ではないが、興味深い質問。コンレールは二大鉄道会社が母体のため、その前身で働いている人を含めると膨大な人数の退職者を持つ事になる。


カブースを買いたいのですが
コンレールは現在余剰のカブースを保有していません。現在保有しているカブースの全てが鉄道の運行に必要なものです。

 ⇒これもまた謎な質問(しかも、謎な質問に限って簡潔である)。カブースとは日本で言う車掌車の事だが、構造は複雑多様。ここに載せる質問かどうかは別として、欲しい人が結構いるということは理解できる。

コンレールの社員にEメール経由でメッセージを送れますか
 知り合いと仕事上の理由からEメールでやり取りする場合は、電話か手紙で相手からメールアドレスを直接聞いて下さい。公にしている個人の電子メールアドレスは、ここ(リンク先)にまとめたものだけです。
 他の会社と同様、コンレールでも、コンレールのため以外での目的でコンピューターや電子メールを使うことを禁止している事に注意してください。

 ⇒アメリカのネット社会の一端を伺わせる質問。しかし、ここに書くまでもなく常識だと思うが。それとも、ネットワークから運行関係の担当者のEメールアドレスを抜き出して質問攻めにしようとしているファンを牽制しているのか。

コンレール公式グッズ(official Conrail merchandise)は売られていますか

コンレールショップは閉店しました。コンレール公式グッツは現在販売していません。

コンレールのロゴをホームページに載せたり、他の目的で使ったりしたいのですが フィラデルフィアのコンレールコーポレートコミュニケーション(Conrail Corporate Communications, P.O. Box 41416, Philadelphia PA 19101-1419)の許可や承認なしで、商業目的でロゴを使用することは出来ません。ロゴの使い方と必要な併記情報については次の通りです。

 ロゴは以下の条件のもと私的、非商業目的に限り使用できます
  ・いかなる方法によっても編集、改変してはいけません。また、部分的に使ったり、たのグラフィックス素材と混合させてもいけま  せん。
  ・®登録マークをロゴの適当な位置につけてください
  ・コンレールコーポレートコミュニケーションがこの目的で配布している以外のロゴをスキャンしたり、再生産してはいけません。  もし、予定されている使用が、「私的で非商業目的」かどうか疑問がありましたら、コンレールは以下のアドレスで質問にお答え致します。

 ロゴが私的、非商業目的に限り、GIFフォーマットのものがダウンロードできます。


 細かいつっこみは途中で入れたが、何とも妙な感じのページである。別にアメリカだからと言う訳ではなく、他の鉄道会社は、もっとまともなページを用意している。あえていうなら、都市交通局のページには似たような感じの質問コーナーがあるのだが、それはそれで、その都市の公共交通の載り方など、必要な情報がニーズにこたえる形でのっているケースが多い。半ば勝手な推測だが元公営企業体である事や、買収によって位置付けが変化した事によるのだろうか。

<注>
 ロゴは、質問コーナーにある使用法を参考に引用しています。
 このページの情報は、2003年3月12日のコンレールホームページの良くある質問コーナー(http://www.conrail.com/faqs.htm)の情報をそのまま翻訳したものです。一番上と下のコンレールホームページ共通の情報とリンクはカットしました(必要であれば前記アドレスへ)。また、⇒の次の下線部付きの文章は筆者の批評です。正式なコンレールホームページのURLは http://www.conrail.com/ です。


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2006年1月1日 新URL移設に伴いリンク加筆