アメリカ旅客鉄道史おまけ(雑談と掲示板) 作者のアメリカ鉄道雑談

○レイルロード・タイクーンの話(2002年3月12日)
レイルロードタイクーン2 箱
POPTOP社ホームページより条件にしたがって引用、詳細は<注釈>
 何故、海外の電車に興味を持ったのかを説明するのは少々難しいが、あえていうなら、以前はまった「レイルロード・タイクーン2」という鉄道経営シュミレーションゲームの影響だろうか。
 レイルロード・タイクーン2はアメリカのPOP・TOP社が作った鉄道経営シュミレーションゲームである。鉄道経営シュミレーションというと、A列車で行こうが有名であるが、私自身はレイルロードタイクーン2の方が面白いと思っている。A列車で行こうは、鉄道経営シュミレーションと言いながら、実質的には鉄道模型シュミレーションのようなものである。
 レイルロードタイクーンの何が面白いのか、それは走行のリアリティである。グラフィックス自体はいい加減であるが、このゲームでは地面に線路を引くと線路の微妙な高低差から勾配が発生する。線路の方向を変えるとカーブが生じる。列車は、駅を出でもいきなり最高速度にはならずに、徐々にスピードを上げて行く。勾配区間ではスピードが落ちるから、列車を最高速度にするには出来るだけ勾配を避けなければならないのだが、勾配を避けようとするとカーブが増え、カーブでは列車はスピードを落とさなければならない。これは普通の鉄道なら常識であるが、私の知っているA列車3〜6あたりではこういう仕掛けはなかった。
レイルロードタイクーン2 プレイ画面(クリックで拡大
 いやらしい事にこのゲームのマップではどこかしら高低差があるので、カーブや勾配は避けられない。おまけに列車はゆっくり走らせるわけにもいかない。運賃は、貨物の種類ごとに、出発点から目的地までの距離によって決定されるが、遅ければ遅いほど得られる運賃は割り引かれる。何とか列車速度を向上させないと収入が入らないのである。
 列車速度を向上させるの方法としては当然の事ながら、高性能車両の導入が考えられるのだが、これがまたこのゲームでは難題である。旅客用の最高速度が高い機関車群は、最高6両編成までの組成が可能だと言うのに、3両以上つなぐと速度が低下して実用的な速さで走ってくれなくなる。また、電気機関車は性能がいいのだが、そのためには電化(架線付線路の敷設)が必要になり、これがまたコスト高である。時代が進むと速度、登坂能力、牽引力共にすぐれた高性能の機関車が手に入るが、これがまたおいそれと歓迎できるわけでもない。500キロで走る事の出来るマグレブ(何故か電化された鉄軌道であれば走行可能)や重量貨物を牽引して5%の勾配を100キロで走行できるインバーター電気機関車なるものが登場するのだが、購入費用は1両だけで年間売上高の数割に及ぶほど高くて、しかも得た運賃を食いつぶすほどの燃費や修繕費がかかるのである。おまけに、走行距離と車両の信頼性で事故発生確率が決まってしまうために、高速車両は事故率が高い。事故率が高いと、走行中に勝手に虎の子の車両が吹っ飛んでなくなってしまう事が多々発生するのである。こんな事から高速車両が勢ぞろいした2010年のヨーロッパで老朽化(故障率が高まる)した1960年代のアメリカ製ディーゼル機関車を延々使い続けるような自体が度々発生する。
 金融もリアルである。金融市場には参加している鉄道会社しか登場しないが、会社の買収は他者の株式取得を通してという企業買収の王道が貫かれている。経営者の資産を市場を操作して(自社株の増資・減資)裏技的に増やす事ができるのだが、ゲームゆえにいい加減に作られていると見るべきか、ライブドア堀江氏の大先輩である悪徳鉄道王の悪事を忠実にシュミュレートしていると見るべきか・・・。
 こんな奥深さから日本では知名度が低いものの、このゲームは欧米では爆発的な人気を呼んだ。日本でも一部では熱中している人間もいるらしい。かくいう私も英語版と日本版の両方を持っていたりする。海外のゲームサイトでは、このゲームの続編に対する注文ばかりを集めたサイト、なんていうのもあったりする。
 このゲームの難点を言うとするなら、連結両数を増やすと速度が低下するというシステムを導入しているために、電車列車が登場しない事で、そのために日本の車両があまり登場しないのである(新幹線が先頭車だけ機関車として登場する・・・)。でも、シアトル輸送公社の社長になってLRTを走らせるシナリオがあり、機関車牽引のLRTを建設させられたりもする(コミューターレールと考えれば違和感はないのだが、3扉の車両をつかっているし・・・)。

 しかし、なぜか電気機関車を買うと、巨大パンタグラフを装備した郊外電車が走る映像が出てくる。今からすれば、ペンシルバニア鉄道の近郊電車線なのだが、最初はなんだか分からなかった。しかし、これだけ大量で大型の郊外電車が日本以外でも走るんだ、という事がわかり出所をあたりたくなった。それが、アメリカの電気鉄道への関心のはじまりだった。


<注釈>
 POPTOP社HPに掲載されているゲームの写真等は非営利ホームページで転載可との記載があったので利用した。
 以下、記載部分の記述を引用

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2006年1月1日 新URL移設に伴いリンク加筆

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