アメリカ旅客鉄道史実地見聞録アメリカ旅行記>(6)シカゴへ向かう

(6)シカゴへ向かう
 
ラシンの最寄駅、スターテバントを通過するシアトル・ポートランド行きの「エンパイヤ・ビルダー」
ちなみに知人は大昔レイクショア・リミテッドに乗った事があるらしいが、小さな子供を連れての座席車利用で大変だったらしい

子連れでブルートレインにのって辟易したというどこかの本の記述を思い出した

  知人宅を後にして次の目的地は、中西部の大都市、シカゴである。
  ラシンからシカゴへは、半世紀前ならノースショアー線に乗って行くことができたのだが、このアメリカでは貴重な電鉄路線は1963年に廃止、今では少し南にあるケノーシャ駅からメトラ(通勤鉄道)に乗るか、郊外にあるスタートバント駅からアムトラックの短距離列車「ハイアワッサ」号に乗るかの二択である。値段はメトラのほうが安い(6〜7ドル)のだが、ケノーシャ発の列車は昼間時間帯には1本しかなく、各駅停車だから遅い。あまり遠くまで送ってもらうのも悪いので、私はスタートバント駅まで送ってもらいアムトラックに乗る事にした。
アムトラックのスタートバント駅、改装予定があり、そのせいか放置されていて荒れている

まもなくやってきたシカゴ行き「ハイアワッサ」号(ミルウォーキー始発)
先頭車両は機関車(F40P)を改造して荷物室兼運転台としたもので実は機関車ではない
(機関車は後ろのほうに見えるジェネシスP40DCでプッシュプル運転)


ハイアワッサはカフェ・カーを持たないため車内販売を行う(アメリカでは珍しいパターン)
  この移動は実は私のはじめてのアムトラック乗車。少々きつめな感じの女性車掌(何しろ痩せ型のおっさんに見えたくらいで・・・)と暗めな車内に驚いて、短時間の乗車だったので慣れるまでには至らなかったのだが、沿線風景はなかなか面白かった。都会に近くなるので、ごみごみした様相になっていくかと思えばさにあらず。集合住宅が増えていったのは確かなのだが、目の前に現れる建物はパステル調のレンガで構成されたものばかり、駅前の商店街も目立つ看板はなく、ひさしなどはやはりパステル調に統一されていて、近郊住宅地というよりはディズニーランドのアトラクションのような感じである。駅では小学生が25セントでレモネードを売っていた。といっても、街全体がディズニーランドのような高所得地帯でのこと、生計のためにという気配は全くなく、募金目的か、学校の授業でお店の商売の事を学んでその実践といった感じであった。 
淡い色調のレンガで統一された郊外住宅地
(自治体単位で規制がかかっているため統一された様相になる)

駅前の様子、全体が写ったものがないのでわかりにくいとは思うが、
質素なディズニーランドといった様相である
(といってもディズニーランドのワールドバザールは公式見解によるとディズニーのすごした
シカゴの街を模したというから似るのは当然かもしれないが・・・)

駅のホームでみた「怪しい」荷車、小学生が25セントでレモネードを売っていた
ディズニーランド然とした町ゆえ、子供の時から働かなければいけない貧困層というわけではなく、
多分、小学校で「実際にお金を稼ぐ勉強をしましょう」とか「恵まれない人のために募金を集めましょう」
と先生に言われたとかそういったパターンなのだろうが、実行するとは・・・

  走ることさらに20分、地図上から推測すると、治安の悪いダウンタウンを目にしながらシカゴの中心部に入るはずだったのだが、あては外れた。列車はヤードをしばらく走った後、シカゴ・ユニオンステーションに到着した。
  駅の前は私がこれまでアメリカでは経験した事の無い雑踏であった(といっても東京に比べればましであるが)。魔都への第一歩といった感じで私は駅に降り立った。

都心近くのヤード、といってもこれは貨物用のではなく、メトラの車両基地

シカゴ・ユニオンステーション(翌日の撮影)

アメリカ旅客鉄道史実地見聞録アメリカ旅行記>(6)シカゴへ向かう

2007年3月25日作成