アメリカ旅客鉄道史おまけ(雑談と掲示板) 作者のアメリカ鉄道雑談

交通政策のマニュフェスト
2009/8/13

   選挙も近いので、政党マニュフェストをネタに記事作成を試みるが、あまりにも面白くないので没、ちょっと視点を変えて、私がマニュフェストの原案を考えるとどうなるかを考えてみた。

WURE党(?)交通政策マニュフェスト
1.交通政策の地方分権を進めます

○行政機構を再編します
・都市間交通、国際交通を除き、監督、運営の権限を地方に移管します。
・首都圏、近畿圏に関しては、都道府県を越えた都市間交通の整備、維持のために、広域行政機構を設立し、その役割を移管します。

○道路建設・運営の主体をかえます
・国道の管理、補助を地方に任せ、その分の財源を地方に移譲します。
・国は高速自動車国道の建設(新直轄区間)と、高速道路会社の監督、行政区域間の役割調整にその権限を縮小します。

○地域公共交通の権限を地域に委譲します
・地域鉄道、地域バス事業の認可権限を地方に委譲します
・そのために、道路運送法、鉄道事業法を改正し、公共交通の免許制度を都市間/地域内に分離します。
・地域に支出しているバス補助金は、地方に移管します
・都市間交通については、安全規制、交通労働問題へ配慮しつつ、一層の規制緩和を進めます
 (⇒ツアーバスに関しては、バス停は不要、但しバスターミナル用地確保は必要、既存のバスターミナルの開放に努めるといった中間的な制度対応が必要か?個人的には車両規制を緩和して寝台バスを実現して欲しいが・・・・<12月8日加筆>)

2.交通行政のスタンダートを定めます

○交通基本法を作成します
・地方分権を有効に機能させるために、交通基本法を定め、国・地方の交通政策における役割を明確にします
・国の役割を、直接監督、規制から、基準となるルールの策定にシフトさせます。

○交通行政のスタンダートを定めます
・分権化後に自由な交通政策を地方が担えるよう、国発のモデル事業を提案します。

3.交通の地域格差是正を図ります

○コンペティション方式で地域の取り組みを評価します
・交通の補助金は原則交付税化(地方の判断で何に使ってもよいお金)しますが、新技術や独創的なアイディアで地域交通の改善を行なうという先進的な取り組みに関しては、審査の上、モデル事業として補助金を支出します。特に優れたアイディアについては、他地域へ広めるための支援も行ないます。

 うーむ、いまいち。国会議員の政策秘書となったら「こんなマニュフェストで有権者の理解を得られると思うのか?」とどやされそうな感じ。
 まあ、これについてはいろいろ言い訳があって、道路の地域公共交通の話は、地方レベルの話、地方分権を提案すると、「地方でやってください、全体のルールのみ国でやります」という話にせざるを得ない。補助金を廃止して交付税化すると、道路に金を投じるのか他のことに金を使うのかは地方の判断になるので、道路の無駄云々という話を登場させることが難しくなる。
 高速道路は・・・、私の主張は、

一律無料化は愚の骨頂

しかし、現状の料金制度も最適ではない

需要に応じて最適な運賃を課すのが望ましい

といっても地方はそれほど通行量がないから実質無料
○需要に応じた運賃体系に改める
○地方では、無料化とともに、並行道路の幹線道路としての管理をやめる(生活道路として維持管理を行なう、峠部分等は廃止も検討)
○混雑部分については、一般道路への課金も行なう

  というものなのだが、この話、原理的な考え方は違うとしても、民主党の高速道路無料化の話と同じようなもので、それほど目新しいものではない。また、一般道路の廃止といっても、どこまで廃止、節約できるところがあるのかが良く分からないのが微妙なところ、また、一般道路の課金はどちらかと言えば地方の仕事、国政のマニュフェストでいうべきかどうか。

 結局のところ、政治は簡単ではないということらしい。


(12月8日補足)
  「交通基本法」でググッたらこのページが5番目に出てきた・・・。しかも民主党のページより上・・・・。こんなマイナーなページが上位に上がるというのは「交通基本法」というアイディアが一部では有名であってもあんまり一般的ではない証拠ともいえ、そう考えると手放しで喜んでもいられない。
  交通基本法はそんなに新しい議論でもなく、道路交通と鉄道といった手段ごとにばらばらになっている交通施設整備の一体化を目指し、公共交通向けの特別会計を置くとかいう「総合交通政策」の議論が1970年代に行なわれていて、こういった政策を何か大きな法律のもとに行なおうとすれば「交通基本法」ということになる。但し、当時こんな政策が議論されていた背景には国鉄の財政問題というのがあって、「総合交通政策」も建前としては全ての交通機関を対象としているものの、本音は新幹線建設や首都圏の線増、ローカル線対策に関する政策みたいになっている。「総合交通政策」は、その後のニーズに合わせて改訂された、ということになっているが、実態は、まあ、こんな話もありましたよ程度に参考として提示するためにあたりさわりのない表現に改変されていったというのが実情。これをどう現在のニーズに合わせた議論にしていくかが今後の課題であろう。

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2009年8月13日作成