アメリカ旅客鉄道史おまけ(雑談と掲示板) 作者のアメリカ鉄道雑談

地震消息確認+停電報道でちらっと思ったこと
2011年3月14日
鉄道で言う「路線図」に相当する東京電力の送電系統図
東京電力2005年アニュアルレポートより引用として必要範囲を転載
ここに載っているのは22万5000ボルトの「主要幹線」と超大型変電所のみで、今回の停電の直接の単位になった主要な
変電所については掲載がないが、メディア関係者にはせめてこの程度の前提知識を持って記者会見に臨んでほしい
今回の地震で大きな被害を受けられた方にお見舞いを申し上げます。
(実家が千葉で、家族は「製油所火災を目撃」と語っていましたが、無事でした、ただし、津波被害を受けた九十九里を除き、北関東・東北ほど深刻ではないとはいうものの家屋の破損や、火災による大気汚染等の問題があるとの事)

 基本的に、「アメリカの鉄道」と今回の震災には関連がないので、今後の先行きは心配しているものの、このページで報じるべき独自の情報(※1)は特にない(政策論議が多くなったが「旅行記以外は基本的に邦文でよそで流している情報は取り扱わない」という自主規制がある)・・・と言いたかったのだが、鉄道のみならず、ネットワーク全般に趣味的な関心を持ってしまう人間として、停電の報道の仕方だけは少し気になった。

 ネットのニュース配信を見ると、

「不十分な情報しか示せてない」電力会社にマスコミが怒り

 という構図なのだが、これは「山手線を運休させた時に、○○区○○の住民が被害を受ける」というのをJRが示せないのと同じような問題、その点を理解せずとにかく苛立ちをぶつけるメディアの不勉強に少し苛立ちを覚えた。
 勿論、変電所単位の供給地域は決まっているので、どの変電所がどの地域に電力を送っているのか(鉄道で「路線図」に相当)は分かっているので、その一覧を報道関係者に渡して説明すれば話は早いのだが、テロ等の懸念もあるので、一般に公開されていない(※2)。いわば、「山手線」「中央線」という具体的な路線や「東京駅」「千葉駅」といった駅名を示さずに、「鉄道を一部地域運休させたために、○○地域の輸送網が断絶した」というような報道をしているようなもので、まだるっこしい説明になるのは致し方ないのである。

 というわけで、メディアへはこんな要望をしたくなってくる

1)「停電を実施する最小単位を説明してほしい、また最小単位となる変電所の供給範囲について情報公開してほしい、不可能な場合はそれを説明してほしい」 という質問を投げかけて欲しい。
2)中央指令所の写真を示しながら、配電と停電の指令方法の概説を行ってほしい。

 まあ、原子力発電所の報道(※3)に力をほうが比重が高まるから不勉強というのは致し方ないのかもしれないが。


<2012年5月3日補足>
 去年の3月の記事の注釈では、
※3)最悪といっても、西側最悪のスリーマイル島事故の最悪(死者なし、住民は最大で胸部レントゲン検査数回分の放射線にさらされる、この事故のおかげでアメリカの原発建設は事実上ストップ)と、チェルノブイリ事故の最悪(少なくとも数千人がスリーマイル島の被ばく者の数万倍の放射線にさらされて死亡)が違うという事を意識して報道してほしい。今回の展開で起こりうる「最悪の事態」は前者のほうである。
  と記したが、私の読みが甘く、事態は「西側のチェルノブイリ」というような状況になってしまっている。私自身は福島原発で直接作業に従事している人間(労務管理がいい加減なので、放射線による健康被害が闇に葬られる可能性大・・・)以外の健康被害については懐疑的であるが、広範囲にわたって避難しなくてはいけない区域が出来るというのは非常に問題であろう。


(※1)念願の日本鉄道旅行に出た海外鉄道ファンが東北地方で足止めを食らった・・・というようなエピソードがあったりもするが、直接の被害地以外では足止めを食らってもなんとかなっているみたいである(旅程に余裕があるから、という事もあるのであろうが)。
(※2)もっとも、これが明文化されていないらしい、というのが問題の一つのような気もする。情報公開という点でいえば、円相場や日経平均株価のような感じで総需要と総供給をリアルタイムでデジタル配信するのが一番手っ取り早い(+中央指令所から電話で中継すればいいので技術的には不可能ではない)のだが、これも色々問題があるのであろう。

(補論)「電力税」というアイディアが経済に詳しい人から出て来ているが、情報が伝達していない現状だと、税率が馬鹿みたいに上がるばかり(1000%とか)で電力消費は思うように減らないという問題が起こりそうな気がする。

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2011年3月14日作成